KiRiE殿に相談してみる。
スキルを磨くこと、この島で生きていくことについて。

「ごぼごぼがばば」


…いや。喋る時は水面から出てくださいよ。


「ぅー。ええやんか。ウチの趣味や」


変わった趣味ですな。


「けどな、そーゆーことやねん」



「この島で生きていく、ってことやろ?
 一つの道を極めるのもええよ。せやけど…ウチは色んな事をしてみたい。
 だから、戦いもするし、こうやって水とも戯れていたい。
 そーゆーことや」


ふむ。息抜き、ですか。


「自分がしたいことが、一つの道ならそれを極めればええねん。ウチは気が多いから、そんなんはムリや。でも、そのどっちも、『生きてる』ってことじゃない?」


なるほど…自分も採掘の道だけではなく、伐採や、収穫も行うようにしてますしね。
最近はKiRiE殿の要望で、飲み物や薬も作るようにしてますが…


「色んな生き方があるから、楽しいんやと思うよ」




少しだけ、何かがわかったような、そんな気がする。
自分の道は、一本では無く、様々な道があるのだ、と。


「一本の道を極めきった先に、一体何があるのか。
 …ウチはきっと何も無いと思ってるねん。
 だから、後戻りしてでも新しい道を探る。その過程が楽しいんかもしれんね」


では、自分は道を極めた先を見て、それから後戻りをしてみます。
ご主人も、きっと同じ思いに違いない。


「うんうん。それもええね」


KiRiE殿はそう言って、水の奥に沈んでいく。
その様は、沈んでいるのに、まるで空高く飛んでいくように見えた。